歯を抜きました

昨日、通院していた歯科医院で抜歯をしました。

貴重な体験だったので日記として残しておきます。


少し長く、施術中の(人によっては)グロテスクな文章表現があるかもしれません。


10年以上前に地元のクリニックで銀のかぶせ物を施された奥歯。

そのかぶせの下に雑菌が入り歯を蝕んでいました。

過去の治療で、虫歯が進行してしまっていて神経を抜いていた上、歯茎から上の部分がすっぽりと覆われるようなかぶせ物であったため、問題の歯は直接見ることができない状態でした。

神経もないのでもちろん痛みも感じません。

ですが、体調を崩した時や梅雨時期に疼くような違和感を覚えていました。

時々頭痛も引き起こしていた(歯が原因かはわかりませんが、その時はそのように感じました)ので、検診を受けてみることにしました。


成人してからは定期的に、年に1度は歯医者へ行った方が良いと聞かされたことがあります。

それが歯科界隈の営業なのかどうかは分かりませんが、少なくとも2~3年は通院していませんでした。

自分の口内環境を知りたいという動機もあり、近所の歯科医院へ足を運びました。

それが抜歯に至るほどの一歩になったことに、驚いています。


歯の状態は、レントゲンを撮ることで判明しました。

レントゲン、高いですね。

子どものころはそんなこと微塵も思わず、個室で被爆防止のベストを着用したり顔のまわりをグルグルまわる機械など、なんとなく特別な感じが楽しいと思っていました。

(そのワクワク感は大人になってもあまり変わりませんでした。)


先生に開設されないと全く気に留めないような影。

レントゲンの読み方など知るはずもありませんから、「ここに影がありますね」と言われ、「はぁ(言われてみれば)」というような反応でした。

その陰こそが膿でした。

歯の根っこの下の方に膿が溜まって袋状になり、更には下あごに影響しているということでした。

歯は顎についていることは事実として知っていますが、歯の根っこのすぐ下に顎の骨があることに、新たな大発見のような驚きを感じました。


更に膿が溜まっているだけでなく、かぶせの下にあった歯も、過去の施術でだいぶ薄く削り取られていることが分かりました。

今まで金属のドームの内側にあった歯。久々に見た私の体の一部は、他の歯と比較すると明らかに色がくすんで黄味を帯びていました。

外側から見える歯のすぐ内側には大きな穴がありました。

ペラペラの円柱の壁、と例えると分かりやすいかもしれません。


かぶせ物を除去した後、整える段階でも多少削る作業があったと思います。

この状態で再びかぶせ物の治療を施したところで、数年、具体的には3年程度で歯が崩壊するとのことでした。

使えるだけ自分の歯を使ってから抜歯するか、今すぐ抜歯するかという選択で、私は後者を選びました。

そのときは、すぐに限界が来ることがわかっているものを頑張って使い続けても良いことはないと感じたからです。即決でした。


途中、何度も担当医の方が「使い続ける選択肢」を提示してくれました。

ですが、なぜそこまでこの傷んでしまった歯を使い続ける方向にしたがるのか、疑念を覚える程でした。

ですが、それは抜歯前夜に共感できました。


抜歯の予約をしてから"その日"がやってくるまで、2週間ほど空いたことにも起因しているのでしょうか。

有り体に言えば「急に怖くなった」ということです。

傷んでしまっていても、自分の体の一部をそんなに簡単に切り捨てていいのか。

数年間は使えるのだから、寿命一杯使う道が正しいのではないか。


ですが、既に2週間前抜歯後のインプラント施術まで決めてサインをしてきた後でした。

抜歯後をそのままにしておくことは出来ず、噛み合わせである相手の歯や周辺の歯に影響するため、インプラントは必須だと説明を受けました。


それは傷んだ歯を使い続けて持って3年後に抜歯となった後も変わらない事実です。

どうせ大きな出費になるのだから、せめてかぶせ物を再び施術する分だけは浮かせようという考えもありました。


金銭的な問題で体の一部を切り捨てていいのか。


そんな呵責もあり、抜歯前夜は不安でした。

あっさり今すぐ抜くと決断した時の自分が嘘のように、マイナス思考で後ろ暗い気持ちが駆け巡っていました。


そんな気持ちでいながらも予約の時間はやってきます。

医院に着いてしまえばいつも通りという感じで、待合室で座って待ち、呼ばれたら席まで。

先生方はもちろん、自分自身も至っていつも通りでした。

麻酔の注射も、今は注射ではないのか?わかりませんが、時間をかけてゆっくり入れると痛くないという、「最先端!」という何だか間抜けな感想です。

抜歯自体はあっという間で、今抜けたの?というほど一瞬でした。

途中、抜こうとする力に耐えられず、反対顎が傾いたことには驚きました。

先生にジェスチャーで伝えると、ゴムでできた強い弾力の何かを噛ませて下さいました。

それからは、あっという間。

むしろ傷口を糸で縛ったり、流れ出す血を吸い取りながら隣接していた部分の掃除をしたりするほうがよっぽど時間はかかっていました。


抜いた後、今回の施術がどういうものであったかの説明を受け、抜いた歯と膿袋を見せていただきました。

抜けた自分の歯のひどい状態を見て、そのとき初めて自分の決断は正しかったと確信できました。

歯は根っこの部分まで薄茶色く変色し、所々は濃い茶色の斑な色をしていました。

歯の形をしている、歯ではない何かのようでした。

先生からも歯の色の説明は受け、根っこの部分はもともと少し黄ばんだ色をしているのが普通だそうですが、ここまでではないと聞かされました。


更に、歯の根っこに先端部分にくっつくようにして存在した膿袋。

私はこれを見るまで、膿が袋状になることも知らず、ここでも新たな発見がありました。

ピンセットでつまんでも敗れることなく、ある程度丈夫な被膜で覆われているようでした。

膿というと傷口にできるイメージでしたが、肉に囲まれた体内に袋として存在する膿の存在を少し不思議にも感じました。

歯の下も細菌が入り込んでいた以上、傷口であることには変わりないのかもしれません。


今は租借には少し不自由ですが、自分の体のほんの一部について詳しく診てもらえ、それが改善に向かっていることをうれしく思います。


画像は内容とは関係ありませんがゴーヤのラフスケッチです。

スズメノタヨリ Official Website

制作者が触れた生活の中にある自然や身のまわりにある草花を描いています。 草花や鳥たちで感じる季節感を愛おしく思いながら創作活動をしています。 ふとした瞬間に身近にあるものが魅力的に見える瞬間を大切にしています。

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