食べられる雑草の話
雑草と呼ばれる草花の中には、人が口にしても害のないもの、むしろ有益なものがあるのをご存知ですか?
昔から全国的に食されてきたヨモギやツクシなどを始め、日本には沢山の「食べられる雑草」が存在します。
今回は、私が食べられる雑草の魅力に気づいたきっかけをお話ししようと思います。
・雑草の定義
ひとくくりに雑草と言っても、野山に生える植物に区切りはありません。
人が邪険に扱う生命力の強い野草がそのように呼ばれているだけです。
それほど繁殖力の高くないもの、畑や庭を荒らさないもので食べられるものは山野草とか野草、山菜と呼びます。
雑草は雑草としてただ逞しいだけで、意図的に人間界を荒らしに来るわけではないので、私はこの呼び分け方があまり好きではありません。
ですが伝わりやすさを踏まえて、この記事では雑草という言葉を選んでいます。
・雑草が食べられる?
さすがに何の前触れもなく雑草を食べたいと思ったわけではありません(笑)
祖母がいる家庭でよもぎ団子やツクシの佃煮は食べた経験がありましたが、それと同じくして路傍の花が食べられるという発想はありませんでした。
ではなぜ食べられる雑草が好きになったか?
順番にお話しします。
・ハーブへの興味が沸く
きっかけは、おそらく前の記事でお伝えしたバジル栽培です。
バジルを育てる過程でハーブのことを知ります。
その中で印象的だったのが、ハーブの文化が根付く土地では雑草のような区分だということ。
雑草の中で、人の暮らしに有益なものを「ハーブ」と呼ぶということです。
ハーブの定義は単に口にして風味がおいしいというだけではないということも知りました。
単なる風味づけではなく防虫、防腐、抗酸化作用、胃健、強壮、沈静、消化吸収、様々な効果が得られるということ。
そして、日本で流行しているハーブは食用の物が多いけれど、ラベンダーやカモミールのように必ずしも食べるものばかりではないということ。(※食べられますがそれ以外の利用が多い)
・和のハーブの存在を知る
楽しくなってハーブについていろいろ調べているうちに、「和のハーブ」と呼ばれる存在を知りました。
日本でも雑草のような生命力で有益な植物を昔から利用してきましたが、それをハーブのように区分けして呼んでいなかったのでしょうか。
強いて言うなら薬味とか、それでも少しニュアンスが違うので「和のハーブ」と呼んでいるのか、単にハーブのブームに乗っかっているのかは分かりません。
ハーブで言うところのバジル的存在のシソ、チャイブ的存在のアサツキなどその他にも様々な植物が「和のハーブ」と(ごく一部で)呼ばれています。
・外来のものより自然とそばにあるもの
私はその「和のハーブ」に出合ったとき、ハーブに対する印象が変わりました。
ずっと普通に食べてきたもの、たまに食卓にあると味わいが豊かになるもの。
日本人の私が育てるなら和のハーブが自然なのではないか。
ハーブに対して漠然とした憧れがあって調べたり育てたりしましたが、ほとんどのハーブが弱アルカリ性の土壌を好むとされています。
日本の土壌は弱酸性。ハーブの用土を買ってきても、使いまわせば雨滴で酸性に傾いていきます。
このブログで何度も登場するバジルですが、本来は多年草なのに日本の気候に合わず(越冬できない)、日本では1年草扱いです。
何となくオシャレな気分になれて、食事も豊かになって、しかも効能があるハーブですが、もっと身近に無理なくそれらを兼ねてくれる存在を見落としていたように思いました。
・究極は食べられる雑草
私の脳内である図式が完成します。
和のハーブ=有益な雑草
つまり、誰かがどこかで「これが和のハーブ」と言わなくたって、生命力が強くて効能のある植物を和のハーブというカテゴリにしてもいいんじゃないだろうか、ということです。
田舎暮らしやスローライフの流行もあってか、ここ数年で雑草を食べることへの注目が(これもごく一部で)高まってきています。
食べられる雑草を紹介したブログやまとめの件数も随分増えました。
こういったところで紹介されている植物を元に、安全を最優先にちょっとずつ試していこうと思います。
というのも自然に生息する植物の中には普通に有毒なものも混ざっていますし、食べられるからと言って必ずしもおいしいという訳でもないものもあります。
動物の出入りする場所や排気ガスのかかる場所で育ったものは、口にすることができません。
少しずつ自分の足で確かな情報を集めて、いつか主観的和のハーブ百科でも作れたらなと思っています。
・散歩嫌いが嘘のように変貌
田舎に暮らすまで時間との戦いのような生き方をしていた私にとって、散歩ほど無意味に感じることはありませんでしたが、今ではそれが嘘のように有意義な時間になっています。
雑草は野に咲く姿が一番美しいと思いますが、安全に口にするために持ち帰ってそこから増やしてみることもあります。
自然と生える植物を囲って管理するのはとても難しいですが、勿論、将来の夢・エディブルガーデンにも必須の存在です。
ビニール袋とスコップを携えて、時に不審に思われつつ、土手や原っぱを散策することが、今では暮らしの一つの楽しみになっています。
画像は食べられる雑草のひとつ カラスノエンドウ(2017)顔彩
新芽は柔らかく豆苗のような風味で美味しいですが莢は固く筋っぽいので食用には向きません。
調べてみると薬効もあるそうです。(今後調査したい)
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