石鹸を作ったときの話
付き合いで連れて行かれた図書館で、退屈そうにしていた私に差し出された一冊の本をきっかけに、時々石鹸作りをするようになりました。
石鹸が作れるという事に目から鱗
石鹸が作れる。そんなことは考えたこともありませんでした。
当たり前に工場で作られるものだと思っていた物。
よくよく考えれば石鹸が今の形になる前の時代ではもっとアナログな手法で作られていたに違いないのですが。
その本に出合った当時は、家庭で揃う道具で作れるという事実にただただ驚きました。
本当にキッチンでできる?
興味を惹かれてその材料に目を通すと、馴染みのない名前の沢山のオイル。
キャリアオイルと呼ばれる、知らないオイルがずらり。
美容に疎い私は、正直オリーブオイルくらいしか知らない…そんな状態でした。
我が家にはオリーブオイルくらいはあるけれど、成功するかわからない石鹸作りには少し勿体なく感じました。
何か代用できるものはないだろうか。
(本をよく読むと、キッチンの道具ではできますが材料はキッチンでは揃いません。むしろ劇薬も必要になります。)
捨ててしまう廃油を活用できる
調べているうちに、廃油石鹸という存在に至りました。
昔は小学校などでも作ったりしていたそうですが、私にとっては初耳でした。
捨ててしまう(しかも手間がかかる)廃油を有効に活用できることがわかり、とたんに石鹸を作りたい情熱がわきあがりました。
しかし手元にある本は、油の種類や配合ごとに分量が変わっており、廃油石鹸については詳しく書かれていません。
再び図書館へ赴くと、今まで目を向けていなかった棚には想像以上の石鹸作りの本が揃ってました。
自然派生活のブームのあってなのか、近年出版されたような本が多いようにも感じました。
そしてそれらの本すべてが廃油を掲載していませんでした。
ホホバオイルやグレープシードオイル、揃えられる気がしません!
冷静になって考えてみると、廃油は使用済みの油を油壷に溜めていった物。
家庭によってそれが菜種油なのか胡麻油なのかオリーブオイルなのか、そのバランスもわからないのです。
本を読んでいる限り、油の種類によって必要となる材料が異なるということは理解していました。
私の家の廃油がどんな配分かなんて本人も把握できない材料を使うことは、やはり難しいのだろうか…
そう思ってしゃがみこんだ足元に、とても年期の入った一冊。
廃油石鹸の本でした。
その本曰く、廃油のように酸化した油は石鹸作りに適していて扱いやすいとのこと。
なぜか必死な私は、もうこれを信じるしかありませんでした。
読み進めるとペットボトルを振り回して作れるというようなことも書かれていたので、安易に出来そうと判断しました。
本当にペットボトルでできるの?
結論から言うと、できませんでした。
体力がもちませんでした。
材料をまぜて10分間降り続けることが、それをインターバルで5回繰り返すことが私には難しかった。
著者は男性だったと思います。それだけは覚えています。盲点でした。
仕方がないので液をボウルに移し、泡立て器を使って地道にまぜました。
一向に変化を見せない液体、ペットボトルの段階を含めると既に2時間以上経過していたと思います。
精神的にも参ったので、もう何でもいいから型に流してしまえ!と牛乳パックの型に流しいれました。
翌日、表面が固形に変化しており驚きました。
ドロっとしてきたら方に流すとあったけど、あれがドロっとした状態だったのかな?
教えてもらうでもなく本やネットの情報を頼りにモノづくりをするときは、手探りでやるしかありません。
料理でも、焼き目がついてきたら~とか、ふつふつとしてきたら~とか、いったいどこから焼き目と判断していいのか、この小さな気泡をふつふつとみなしていいのか。
これでいいのかダメなのか。
そんな感覚と近いかもしれません。
そして聞く相手が本ですから返事はありません。
驚きと歓喜も束の間、やはりあれは「ドロっと」には程遠かったと知らされます。
型に流して24時間、型から外すその瞬間に。
自分なりのレシピ
両手で足りる程しか経験のない石鹸作りでも、繰り返すうちに分量と感覚をつかんできました。
今では失敗しないオリジナルの廃油石鹸のレシピを使って、香り付けを変えたりオプションをかえたりしてバリエーションを楽しんでいます。
使用感は、手作り石鹸ならではの緩みやすさが玉にキズ。
これはどんなオイルで作っても、家庭で作る限り変わらないと思います。
工場で作られる石鹸と家庭で作る石鹸では、その内部に残る水分量やグリセリンの量が全く違います。
きちんとしたキャリアオイルで何年も石鹸を作って販売されている方でも、「柔らかいです」「通常の石鹸より溶けやすいです」と注意しているのを目にします。
崩れやすさ以外の点では、使っていて問題を感じませんし、我が家では食器洗いやハンドソープを始め本当に色んなものの汚れ落としに活用しています。
抵抗のある方も多いかもしれませんが、半年ほど前からは洗顔の役目も担ってくれるようになり、以前より廃油石鹸の消費が激しくなっています。
調べれば調べる程、廃油石鹸ユーザーはマイノリティ
石鹸作りを調べれば調べる程、廃油石鹸を使う人は殆どいないことに気づきます。
安定した完成形が無いこと、酸化したオイルを使う事にたいするデメリットも囁かれています。
どんなに自然由来でもアレルギーを引き起こすことがあるので、完全に誰もが安心して使えるものにするのは困難でしょう。
それを叶える一つはやはり自分が実験台になって、廃油石鹸の安全性を証明しないといけません。
石鹸作りの腕前をあげることも大切ですね。
今は自分と家族が使う分だけ、自分が満足するだけと思っていますが、それでもいつか廃油石鹸の良さをお届け出来たら。そんな風に思います。
画像は内容とは全く関係のないイヌタデ(2017)顔彩
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